|
「あ、藍華ちゃん、アリスちゃん!」 あ、知り合いだったんだ。 仲のいいお友達なのかな? すごく嬉しそうな灯里さんが眩しい。 「灯里ぃ、やったじゃん。 初めてのお客様だって?」 「藍華先輩・・・でっかい営業妨害です。」 「野暮な突っ込み禁止っ!!・・・ちゃんとご案内できてる?」 「うん。たぶん。ね! 亜沙里ちゃん!」 急に振らないで、灯里さん。 慌てて返事しちゃったから・・・・ 「え、あ、は、はひっ・・・あれれ・・・」 「でっかい 口癖うつってますね。」 「そのようすじゃ、相当うまく行ってるみたいね。」 「だから心配は要らないって言ったんですよ。灯里先輩なら平気だって・・・」 「く、口応え禁止っ! 後輩ちゃんだって、でっかいポケポケだっていつも言ってたじゃん。」 「でも、初めて会う人にもでっかい好印象与えられるから、大丈夫なんです。」 「そんなことわかってるわよ。だから口答え禁止っ!!」 「でっかい」と「禁止」が飛び交ってる・・・ でも、とっても馴染んでる感じがする・・・ 二人っとも、灯里さんのこと大好きなんだなって感じる。 「あ、亜沙里ちゃん。この子は姫屋の藍華ちゃん。」 「よろしくね!えっと、亜沙里ちゃんだっけ?」 「あ、はい! こちらこそよろしくお願いします。」 「で、この子はオレンジ・ぷらねっとのアリスちゃん。」 「でっかい よろしくです。」 「こちらこそよろしくお願いします!」 藍華さんは一見気が強そう。 アリスさんは繊細な感じ・・・ 会社も違うし・・・ なぜこの3人が仲良しなのか、結構不思議かも・・・ 「この子達とは3人でよく合同練習したんだよ。」 「え? 会社違っても大丈夫なの?」 「ま、それはそれ、これはこれって言うか。」 「・・・藍華先輩、説明になってません。」 「うっ・・・」 そのあと3人からいろんな話を聞いた。 3人で集まるようになったきっかけ・・・ それぞれの先輩《水の3大妖精》から・・・ そして今のウンディーネ界に多大な影響を与えたグランドマザーから・・・ テクニックとかだけじゃない ウンディーネにとって大切な事を教えられたこと・・・ そうそう。さっきのアリシアさんも、水の3大妖精さんなんだって。 でも・・・そんな偉大な人なのに、全然偉そうにしてないのって、実はすごいよね。 「そーなのよぉ。だからアリシアさんってすごいの・・・ああ、アリシアさん・・・」 「ホント、藍華ちゃんってアリシアさんラブだよね。」 「でっかい恥ずかしいです。」 きっと・・・ きっかけがアリシアさんでも、灯里さんだから藍華さんとこんなに仲良くなれたんだね。 ちょっとわがままで、でも何だか寂しがり屋さん・・・ そんな藍華さんを あのほんわかした笑顔が優しく包み込んでるんだろうな・・・ それに・・・ アリスさんも 笑顔が「でっかい」苦手だったって言うけど・・・ 今は「でっかい」素敵な笑顔、してるよ。 これも灯里さんからもらったんじゃないかな? なにより・・・ 藍華さんとアリスさんって、普通に考えたら絶対に合わないタイプだよね。 性格もだし、何より もろぶつかり合ってるライバル会社同士だし・・・ そんな二人でもくっつけちゃうなんて、灯里さんって・・・・・・ なんてすごいんだろう・・・ 私も・・・灯里さんみたいになりたいなぁ・・・ 「すわっ!!」 「ぎゃ〜〜す!!」 「はひぃ〜っ!?」 「で、でっかいビックリです。」 話し込んでいた私たちの目の前に新たに現れたウンディーネ。 藍華さんと同じ姫屋のユニホームを着ている長身の大人の女性。 鋭い目つきで3人を見据える。 「あ、晃さんっ!?」 「・・・藍華、せっかくプリマになったのに、何油売ってるんだ?」 「えっと・・・・・・・」 さっきの話に出てきた水の3大妖精の一人・晃さん・・・ 藍華さんの先輩・・・ 迫力のある人だ。 藍華さん、たじたじになってる・・・ 「ア・リ・スちゃん?」 「はいっ」 「あんたも同じだ。そんな事じゃウンディーネ界のトップは姫屋が奪還するよ?」 「それはでっかい一大事かも、です。」 他社の後輩にでもきちんと指導をして、ウンディーネ界全体のことを考えている・・・ この人もすごいんだね。 さすが3大妖精・・・ 「あ、晃ちゃんも来てたの?」 「!? アテナっ?!」 今度はアリスさんと同じ オレンジぷらねっとのユニホーム姿のウンディーネ。 晃さんよりさらに長身で、何だか不思議な感じを受ける。 よく見ると、そのアテナさん、肩が激しく震えてる。 こんな所で油を売ってる後輩たちに怒り沸騰!? まずいかも・・・・・・ 「・・・でっかい笑いすぎです、アテナ先輩。」 ええっ!? 笑ってたのかぁ・・・・・ 「私たちも最初は怒ってるって思ったよね。藍華ちゃん?」 「あ、あたしは洞察力あるから最初からわかってたわよ?」 「でっかい焦ってましたけど?」 「なっ!? 口答え、禁止っ!!」 「さっきからそれ でっかい連発してますね。」 どうやら、私だけじゃなかったみたい・・・ そりゃあ、初めて見たら、あれが笑ってるのなんてわからないよ。 「ん、灯里ちゃんの初陣だからちょっと来てみたら、なんかみんな集まってるから・・・」 「そーいや、アリシアのやつだけいないな。・・・あいつ意外に冷たいな。」 「アリシア先輩は灯里先輩をでっかい信頼してるから来てないんですよ。」 灯里さん、すごい真っ赤・・・ でも・・・すごいなぁ・・・ みんな灯里さんのプリマ初陣を見に来ちゃってる・・・ 練習仲間だけじゃなく、先輩たちまで来させちゃうなんて・・・ 灯里さんのすごさって・・・ 無限なのかな? まるで・・・全てを引き付けるブラックホールのように・・・ 「そこ、恥ずかしいセリフ禁止っ!!」 「え〜っ!?」 しまったぁ・・・ つい、口に出してたらしい・・・ 藍華さんの鋭い突込みが炸裂!! 「すわっ!!」 「ひっ!!」 「藍華・・・お前にはまだ客いじりは早い。・・・行くぞ。」 「アリスちゃんも、そろそろ行こう。・・・灯里ちゃんなら大丈夫だから。」 「はい。アテナ先輩。」 深々とお辞儀をしてゴンドラに戻るアリスさん。 そういえばアテナさんってゴンドラから降りなかった・・・ あ、そうか。 なるべく長引かせないように敢えて降りなかったのかも。 さすが、気配り名人。 去り行く二人のゴンドラの方から風に乗って聞こえてくる舟謳・・・ なんだろう・・・ 心が洗われるみたい・・・ 「よかったね、亜沙里ちゃん。アテナさんの舟謳まで聞けちゃったね。」 「うん!!」 《天使の謳声》 水の3大妖精の一人・アテナさんの通り名・・・ 本当に天使が謳ってるとしか思えない・・・ 限りなく透明な声が 吸い込まれていく・・・ アクアの海に・・・ アクアの大地に・・・ アクアの大気に・・・ あれは・・・たぶん 一人前になった灯里さんへのプレゼントの意味があるんじゃないのかな? 心、こもってるもの。 そして、このさり気なさがアテナさんなんだろうな・・・ 「・・・ほら、藍華。もうあいつは一人前としてやってける。お前が一番わかってるだろ?」 「うん、そうだね。じゃ、またね、灯里!」 「うん!! 藍華ちゃん、お互いがんばろうね!!」 「灯里ちゃん。いや、《灯里》。これからはお前もライバルだな。」 「そんなぁ・・・まだまだですよぉ。でも、頑張ります!!」 厳しいけれど優しい晃さん・・・ 認めるところはちゃんと認める・・・ 灯里さんも、晃さんのお墨付きをもらって嬉しそう・・・ 「灯里ぃ〜!」 「はひっ?」 遠ざかるゴンドラから晃さんが大声で灯里さんを呼んだ。 低いけど、本当によく通る声だ。 「お前の得意技、確かに見事だな。けど、あんまし使うなよ?・・・逆漕ぎ!」 「あひっ!?」 晃さん、しっかり見てたんだ。 灯里さんの逆漕ぎ・・・ 確かにルール違反だし、使っちゃいけないんだろうけど・・・ でも、素直にその威力は認めてるんだ。 「じゃあ、続き 行こうか。」 「うん! 行きましょう!!」 私たちも船着場を離れる。 ゆっくりのんびり・・・ 時の流れに逆らわないで・・・ もう、すっかり硬さが取れて、すごく優雅なんだ・・・ 灯里さん・・・ 見とれちゃうよぉ・・・ 「あのぉ・・・亜沙里ちゃん?」 「はひっ?!」 「せっかくの機会なんだから 私ばっかり見てないでネオ・ヴェネツィアの風景も楽しんでね。」 「はひっ!」 少し赤くなっている灯里さん・・・ でもやっぱり・・・何度見てもかわいいよぉ・・・ 景色見るのが疎かになっちゃうってば。 「あ、そうそう、亜沙里ちゃん。おなか、すかない?」 「そういえば・・・」 いろいろありすぎて忘れてた・・・ もう、お昼をとっくに過ぎてたんだ。 おなかの虫が騒ぎそう・・・ 「じゃがバター二つ!!」 「はいよ〜!」 へぇ〜、舟で商売してるんだ。 ゴンドラに乗ったままで買えるんだ。 「はい! 熱いから気をつけてね!」 「うん!!」 ニコニコしながら手渡してくれたじゃがバター・・・ 昨日食べたものよりジャガイモが少しいびつかな? でも、わかる! こっちの方が、きっと美味しいんだって。 「いただきま〜す!」 はふはふしながら一口食べる。 やっぱり!! こんなのじゃがバターじゃないでしょ? だって、美味しすぎるもん! 「美味しい?」 「うん!! こんな美味しいの、初めて!」 「マンホームじゃ、あんまり売ってないもんね。」 高度に効率化されたマンホームの生活・・・ 衛生と栄養とコスト・・・これが全て。 本当の食べる楽しみなんて、どこかへ置いて来ちゃったのかなぁ・・・ 「昨日も別のお店のを食べたんだけど、ここまでは美味しくなかったの。」 「うん。ここのは特別! だって、グランマも住む田舎で作ってる手作りジャガイモだから・・・」 納得!! 作る人の愛情が、このお芋にしっかり詰まってるんだ。 美味しくないわけ、ないじゃん!! 「やっぱり、愛情って美味しいんだね。」 「恥ずかしいセリフ、禁止!!」 「ほへっ?! 灯里さん・・・?」 「なんちゃってぇ・・・ うそうそ。素敵なセリフだと思うよ。」 茶目っ気まで発揮しちゃって・・・ もう、責任とってほしいくらい私の気持ちは動いてる・・・ 決心、ついたよ。 「亜沙里っ!? どこ言ったかと思ったら、何こんなトコでじゃがバターぱくついてるのよ?」 背後からいきなり投げかけられた よく聞き知った声・・・ 「はひっ!? アカネっ!?」 「あらあら・・・お友達・・・?」 しまった! そこには ほったらかしにされてたアカネが立っていた・・・ ぎんっと目を吊り上げて・・・ 背景素材: Queen's FREE World
様二次創作トップ TOP |