「灯里先輩っ!!」

 「はひっ? どーしたの?アリスちゃん。」



 まっすぐな瞳で灯里へと詰め寄るアリス。

 いつも以上に真剣な表情・・・

 迫られた灯里は 思わずたじろいだ。



 「先輩にお願いがあるのです。是非、私に・・・逆漕ぎを指導してもらいたいのです!」

 「うん、いいよ。そんなことなら歓んで・・・って・・・ ええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」





 その 笑顔の逆漕ぎクイーンは・・・





 その日は、いつもの合同練習は休みだった。

 一人で自主練習をしていた灯里・・・



 彼女の一番の苦手はゴンドラの操舵術。



 マンホームでシミュレーターを使って賢明に練習してきた灯里・・・

 それなりに技術を磨き、ウンディーネとしての生活に胸を膨らませていた。

 そんな彼女にとって一番ショックだったこと・・・

 それはARIAカンパニーでの初漕ぎのときにアリシアに指摘された一言であった。



 「漕ぐ方向 逆よ。」



 完全に体に染み込んでしまっていた逆漕ぎの癖・・・

 これは彼女のその後に長い影を落とし続けていた。



 へろへろと情けない漕ぎ方しか出来なくなってしまった灯里・・・

 そんな灯里が素直に尊敬する一人がアリス。

 灯里より後輩の両手袋でありながらその腕は灯里をはるかに上回る。

 灯里よりずっと安定した操舵術の持ち主である藍華すらも凌ぐ腕前・・・

 ウンディーネ界トップ3の一人の晃でさえ彼女にお墨付きを与えていたほどだ。

 当然、合同練習でも灯里が彼女から教わる部分も大きい。


 そんなアリスが・・・

 よりによって逆漕ぎの指導を願いに灯里の元を訪れている。

 灯里には何が何だかさっぱりわからなかった。



 「ね、ねえ アリスちゃん?」

 「何ですか?」

 「えっとぉ・・・何で逆漕ぎなんて教わりたくなったの?」

 「よくぞ訊いてくださいました。」



 アリスの瞳がキラリと光った。

 ただならぬ決意を感じ取った灯里であった・・・



 「灯里先輩は、逆漕ぎだと無敵の速さを発揮しますよね?」

 「ええ〜っ、無敵なんて・・・まあ・・・正しい向きよりは速いけどね。」



 アリスに無敵とまで言われて戸惑う灯里。

 あまりそこまで速いという自覚はなかった。



 「いえ、無敵といっても問題ないでしょう。私の全速力を上回るのですから。」

 「そ、そうなの?」

 「はい。初めて出会ったときのことを思い出してください。」



 複雑な流れの水路・・・

 その日、灯里と藍華は二人で特訓をしていた。

 流れに苦戦する二人・・・

 灯里より操舵術で勝る藍華でさえ手を焼いていた。

 そんな二人のゴンドラを追い抜いていったのは、他ならぬアリスのゴンドラである。



 天才肌で自身の腕前に自信を持つアリス・・・

 発言もそれに裏打ちされたように勝気で挑発的に響いていた。

 プライドを傷つけられた藍華は彼女に挑戦状を叩きつけたのだった。



 「あの時、絶対負ける気はしませんでした。藍華先輩の腕は明らかに私より未熟でしたから・・・」

 「あ、アリスちゃん・・・・・・・」


 アリスの考えた通り・・・

 藍華の腕では勝負が見えていた。

 そこで藍華が使った奥の手・・・

 それは灯里の逆漕ぎだった・・・

 見る見る差を縮め、やがて抜き去る灯里のゴンドラ・・・

 まもなくアリスの視界から消えていったのだった・・・



 「私がいくら必死に漕いでも・・・追いつけませんでした。・・・でっかい完敗でした。」

 「・・・あの時は、途中で私が棄権しちゃったから勝負はつかなかったんだよね?」

 「いいえ、でっかい負けました!」

 「そ、そうなんだ・・・」



 アリスの迫力に完全に気おされた灯里。

 小さな体のどこにこの迫力を秘めているのであろうか・・・



 「その無敵の逆漕ぎを、私も会得したいと思ったのです。」

 「でも・・・逆漕ぎって・・・禁じ手って決まってるんだよ?」

 「でっかい常識ですね。でも、それでもいいんです。でっかい覚えたい、それだけです!」



 どうやらアリスの決意は強固なものだったようだ。

 ここまで言われたら・・・

 灯里には拒否することなど出来なかった・・・



 「そ、そっか。じゃあ、私でよければ喜んで!」

 「よろしくお願いします、灯里先輩!!」


 こうして、世にも珍しい『ゴンドラの逆漕ぎ合同練習』が始まった。

 いつも一緒の藍華はこの場にはいない。

 だが、もし彼女がいたら話は複雑だったかもしれない。

 「逆漕ぎ禁止っ!!」と言われ、練習にならなかったはずだから・・・





 「わっ・・・おっと・・・」

 「しっかり、アリスちゃん。」



 天才との呼び声高いアリス・・・

 身体能力・バランス感覚・・・その全てが常人を上回っている。

 そんな彼女が苦戦している。

 不慣れな漕ぎ位置でオールを繰り出すと、どうにも進路が定まらない。

 ゴンドラはふらふらと舟尾を振り 輪を描き 決して直進しようとしない。

 速度も恐ろしく低い。

 かつて灯里が暁に揶揄されたときの『超ノロ伝説』は今確かに継承された・・・



 「こ、これほどまでに難しいとは・・・」

 「ううん、アリスちゃん。最初はこんなもんだよ。初めてにしちゃ上手・・・」

 「慰めはでっかい無用です!」

 「はひっ!」



 アリスはでっかい焦っていた。

 漕ぐ向きが逆になっただけならすぐにそこそこ漕げると信じていた。

 それなのに、なかなかゴンドラがまっすぐに進んでくれない。

 苛立ちが募っていった・・・



 『私としたことが、何でこんなにてこずるんですか?何ですか!?何なんですか!?』



 それでもさすがは天才少女。

 暫くすると、とりあえずまっすぐに漕ぐことが出来るようになっていた。

 速度はまだかなり低いが・・・





 不慣れな漕ぎ方を続けたため、アリスの小さな体は急速に力を失いつつあった。

 天才といえど、小柄でまだ未熟な少女・・・

 体力の絶対量は大人にかなう訳ではない。

 肩で息を始めた彼女を見過ごすほどボケボケな灯里ではなかった。



 「アリスちゃん、休憩にしない?」

 「でっかいお世話です。まだ大丈夫ですから。」

 「ううん、私が疲れちゃったんだ。」



 もちろん、灯里はさほど疲れてはいなかった。

 アリスを休ませるための口実に過ぎなかった。



 「・・・わかりました。今日は灯里先輩が先生ですから・・・」



 割と素直に受け入れるアリス。

 ゴンドラをパリーナに係留すると、ARIAカンパニーの2階へと上がった。



 「大丈夫?アリスちゃん。」

 「でっかい大丈夫です。」



 強がってはいても、疲労の色を隠すことは出来ない。

 ぐったりとするアリスの肩を優しく揉んであげる灯里・・・



 「灯里先輩・・・ありがとうございます。」

 「アリスちゃん、いつも揉んでくれてるから、お返しだよ。」

 「・・・先輩、タフですね?」



 疲労の色をまったく見せずいつもの明るい笑顔の灯里・・・

 アリスは素直に感心していた。



 「そっかなぁ・・・アリシアさんや晃さんに比べたら、私なんてまだまだスタミナ不足だよ?」

 「比べる相手をでっかい間違ってますから。」



 まあ、たしかに水の3大妖精クラスのウンディーネは技術だってトップクラス。

 無駄のない漕ぎ方を極め、疲れた顔とは無縁である。



 「ねえ、それよりアリスちゃん? 何か冷たいものいる?」

 「あ、すいません。お願いします。」

 「じゃあ、買って来るね。・・・何なら寝ちゃっててもいいよ。」

 「はい。でっかいわかりました。」



 いつもより素直なアリス。

 どうやら、灯里のことを改めて尊敬しなおしたようだ。






 灯里が近くの商店へおやつを買いに出かけたのとすれ違いに、アリシアが戻ってきた。

 アリシアは、リビングのクッションに横たわるアリスを見つけた。



 「あらあらあら・・・大丈夫?アリスちゃん。」

 「でっかい大丈夫です・・・疲れましたけど・・・」

 「あらあら・・・」



 アリスとアリシアのツーショット・・・

 割と珍しい取り合わせである。

 以前二人きりになった時には、アリスは《アリシア自身》について尋ねた。

 今日はあの日と異なった疑問をアリシアにぶつけてみた。



 「アリシアさん・・・灯里先輩って何であんなにすごい人なんですか?」

 「あらあら・・・アリスちゃんから見て、灯里ちゃんってそんなにすごいの?」



 もちろん、アリシアには灯里のすごさは良くわかっている。

 というより、彼女のすごさを《本人以上に》よく知ってる。

 それでも敢えて問いかけたのは、アリスの質問の本意を量るためであろう。



 「でっかいすごい人です。

  実は、どれくらい灯里先輩が苦労してるか実感してみようと逆漕ぎを教わったのですが、

  ここまででっかい大変なことだとは思ってませんでした。」



 慣れない漕ぎ方を少ししただけでここまで疲れてしまったアリス・・・

 灯里はその逆をずっとやってきたのだから・・・

 その疲労は計り知れない。



 しかも、最近はかなり正しい漕ぎ方も板についている。

 以前ほど速度不足や余裕のなさから来るゴンドラのゆれもなくなってきている。

 これは、相当の練習量からもたらされた賜物であることは言うまでもない。



 「最近は合同練習じゃないときも、でっかい練習してるみたいです。

  それなのに・・・いつでもでっかい笑顔です。疲れてるとは思えないです。」

  どうして疲れないんですか?あの人は・・・」



 「あら、灯里ちゃんだって、ちゃんと疲れてるわよ?」



 ニッコリと答えるアリシア。

 彼女の笑顔は余程のことがない限り曇ることがない。

 それは、灯里にも共通する事の様に思えた。



 「そういえば、アリシアさんも疲れた顔って見せませんね。」

 「うふふ・・・ そう?」

 「今朝も2件はお仕事を済ませてきた筈です。灯里先輩がそう言ってましたから。」

 「あらあら・・・」



 まったく曇りのない優しさにあふれた笑顔・・・

 まるで、ネオ・アドリア海に降り注ぐ陽射しのようなあたたかさ・・・

 そこには疲労が落とす一点の曇りすら見られなかった・・・



 「確かに、お仕事とか・・・灯里ちゃんの場合は練習ね。

  忙しいときは、すごく疲れちゃうこともあるわ。《でっかい》疲れたって言うのかしら?」


 「でっかい、その通りです。」



 自らの口癖をアリシアに使われ、少し照れるアリス。

 白い頬が薄紅色を帯びる。



 「うふふ・・・ でね。 疲れた顔になる、って思うでしょ?」

 「はい。普通はそうなりますね。」

 「でも・・・もったいないでしょ?」

 「え・・・? 《もったいない》ですか?」



 考えもしなかった《もったいない》という言葉・・・

 アリスの胸に印象的に響いた。




 「うん。だって、疲れた顔してぐったりしてたら、せっかくの素敵な事が見えなくなるでしょ?

  素敵な事のカタマリなんだもの、このネオ・ヴェネツィアって。

  だからね、それを一つでも多く見つけたいと思ってると、疲れた顔してる暇なんてないのよ。」


 「疲れてる暇なんてない・・・ですか?」


 「うん。」



 アリシアの笑顔の源が見えた気がした。

 そしてそれが灯里にも受け継がれているように感じられた。




 「それで、アリシアさんが灯里先輩にそれを伝授してるというわけですね。」

 「うふふ・・・ちょっと違うわ。」

 「え?」

 「私がね、灯里ちゃんに教わってるのかもしれないの。」



 またしても想定外。



 《水の3大妖精》の一人、アリシア・・・

 水先案内店業界でも一目も二目もおかれる存在だ。

 そんな彼女が後輩に教わることがあるなんて・・・

 にわかには信じられなかった。



 「アリシアさんが、灯里先輩から・・・ですか?」

 「うん。灯里ちゃんから。」

 「でっかい理解不能です。」



 でっかい不可思議そうな表情を浮かべるアリス。

 アリシアはうふふと笑みを浮かべながら静かに語る。




 「ウンディーネを始めた頃は、自然に出来てたの。《素敵》を探すことがね。

  でも・・・長いことやってると いつの間にかそれが遠のいちゃうこともあるわ。

  人間って、忘れっぽい生き物だからね・・・

  だけど、灯里ちゃんが思い出させてくれるの。・・・素敵探しの楽しさをね!」




 アリシアの表情はいつも以上に明るい。

 まるで自分のことのように・・・いや、それ以上に誇らしげに灯里のことを語る。

 灯里を心から大切にしている証拠であろう。



 「なるほど、やっと理解できました。でも・・・それだといつかは・・・」


 「うん。灯里ちゃんが逆に忘れちゃうこともあるかも知れない。

  その時は、思い出させてあげる。

  灯里ちゃんに教わったことをちゃんとお返ししてあげるの。」


 「でっかい素敵ですね。」


 「あら、アリスちゃんにも出来ると思うわよ? はいっ。」



 「え!?」



 いきなり自分の名が出され、首を傾げるアリスの目の前にすっと差し出されたのは手鏡だった。

 当然のように映し出されているアリスの顔・・・



 「あっ・・・・・・!」




 かつて、笑顔が大の苦手だったアリス・・・

 彼女に 変るきっかけをくれたのは灯里・・・

 そして それを後押しした、アリスの先輩アテナ・・・


 ある時・・・

 殻に閉じこもりがちだったアリスを諭す時に使われたのは《鏡》・・・

 アリスはそのときの事を思い出していた。



 「鏡が 自分の姿を映すように、人もまた 自分の心を映すのよ・・・」


 アテナの言葉がアリスの脳裏に響いていた。




 「灯里ちゃんと一緒にいて、アリスちゃんの笑顔が増えたわ。灯里ちゃんの笑顔を映して・・・」

 「灯里先輩の・・・笑顔・・・」

 「うん。だからね、灯里ちゃんがもし笑顔をなくしそうになったら・・・」

 「・・・灯里先輩に、私の笑顔を《映す》・・・」

 「そ! 今のアリスちゃんなら、簡単でしょ?」




 確かに・・・



 以前、苦手意識で遠ざかっていた 同じ会社の同輩たち・・・

 でも、少しだけ勇気を持って笑顔を見せるように頑張った。

 すると、相手も返してくれた。

 素敵な笑顔を・・・




 「・・・笑顔の恩返しですね!」

 「うん! でっかい素敵な恩返し!」

 「わかったです! でっかいお任せ下さい。」



 ぴんっと胸を張るアリス。

 その顔には晴れやかな笑みが浮かんでいる。




 「あ、そうそう。 アリスちゃん。ひとつお願いがあるわ。」

 「でっかいわかってます。灯里先輩にはナイショという事ですね。」

 「うん。ちょっと照れくさいから・・・ ネっ!!」


 少し照れ笑い気味のアリシア・・・

 大妖精もこういうときは、年齢相応の女の子に見える。



 「ぷいにゅ〜〜〜!!」

 「あら、アリア社長。 ・・・あらあら。もう次の予約のお時間だわ。」

 「にゅ!」



 いそいそと準備を整えるアリシア。

 今日3軒目の仕事・・・

 休憩時間もさほど休んでいなかった。

 というより、アリスと語りとおしていた。

 それでも疲れは微塵も見せない。



 「じゃあ、灯里ちゃんのこと、お願いね。」

 「ぷいにゅぃ!」

 「はい! でっかいお任せください。」



 美ぼうと笑顔の大妖精(と社長)を送り出すアリス・・・

 それと入れ違いに戻ってきた灯里。



 「あれれ、アリスちゃん。もう元気になったの?」

 「はい! 心配おかけしました。」



 灯里はアリスの顔を見た。

 そこにはいつもより素晴らしい笑顔が浮かんでいた。

 すると つられる様に灯里の笑顔も一層輝きを増す。


 「灯里先輩、何だかでっかい嬉しそうですね。」

 「うん! アリスちゃんが素敵な笑顔してるから、何だか嬉しくなっちゃった。」



 アリスの頬が赤く見えたのは傾きかけた陽射しのせいだけではなかった。



 『本当に・・・私の力で灯里先輩の笑顔がでっかくなったです。すごいです。』


 小さな達成感がアリスの胸に満ちていた。



 「灯里先輩! もう少し練習続けましょう。」

 「ええ? ジュースとプリン、買ってきたけど?」

 「練習のあとの方が でっかい美味です。」



 アリスの瞳がキラリンと光る。


 「そうだね、うん。 絶対その方が何倍もおいしく感じられるね。アリスちゃん、スゴイ!」

 「でっかいありがとうです。」



 夕日の中、逆送するゴンドラ・・・

 二つの眩しい笑顔を乗せて水面を滑っていた。

 完全に日が暮れてもその眩しさは損なわれることはなかった・・・





 そして後日・・・





 「ちょっと、灯里。なんでまた逆漕ぎしてるのよ?」

 「だって藍華ちゃん、逆漕ぎも私の大事な技のひとつだと思うよ。」

 「恥ずかしい練習禁止っ!!」

 「ええーーーーっ」



 そんな二人のやり取りを尻目に、アリスがゴンドラを漕ぎ出した。

 水面を<<逆に>>進み始めるオレンジのウンディーネ・・・



 「んなっ!? ちょっとぉ、後輩ちゃんまで何やってんの?」

 「ふぇ〜〜〜、アリスちゃん。上手上手。」

 「まだまだ灯里先輩には敵いません。」



 負けず嫌いの藍華・・・

 灯里だけではなくアリスまで繰り出した逆漕ぎが気になって仕方ない。

 自分だけ出来ないなんて、プライドが許さない。




 「シングルの逆漕ぎテクニックってヤツを見せてあげるわ。見てなさい、後輩ちゃんっ!」

 「藍華ちゃん、何だかこわひーーーー」

 「・・・ていうか。灯里先輩だって、シングルですから・・・」



 藍華のゴンドラも逆走しはじめた・・・

 思いのほかスムーズに・・・

 もちろん灯里には敵わないが・・・



 「藍華ちゃん、すごいー!」

 「これは、隠れてでっかい練習してましたね。」

 「ふふん。灯里はともかく後輩ちゃんには負けないわよぉ」




 3双のゴンドラが仲良く水面を滑っていく・・・

 時をさかのぼるように・・・







 「すわっ!? な、なんだぁ!?」



 たまたま通りかかった晃は思いっきりずっこけた。

 アテナ真っ青の顔面ゴケで・・・


 「あ、ありえねぇ・・・ ゴンドラがそろってバックしてるなんてありえねぇ・・・」



 「あ、あの・・・晃さん、大丈夫ですか?」



 「え?あ、お客様! お騒がせしました。

  えっと、あちらに見えますのがネオ・ヴェネツィア名物のポロロッカ・ゴンドラで〜す。」



 「あ、なるほど。マンホームでかつて起きてたという《遡る川》ですね。」


 「さすがはお客様。良くご存知ですね。」



 その場はどうにかうまく切り抜けた晃・・・

 さすがは3大妖精の面目躍如といったところか。





 その後、3人が晃の雷を受けたことは言うまでもなかった。






 アリスは思った。

 『アリシアさん。笑顔だけではなく、逆漕ぎも他の人にでっかいうつるのですね。』




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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜あとがき〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 今回はよりコミカルに攻めてみました。
 灯里の笑顔の原動力、逆漕ぎの魅力・・・(笑)
 アリスを通して描こうと思い、書いてみました。
 藍華や晃は当初出る予定はなかったのですが、出たいと騒いだので・・・
 (姫屋キャラはこわひですーーー)

 特にアニメでは、時折逆漕ぎを繰り出す灯里・・・
 必殺技という感じですよね。
 これはどこかで練習しているに違いない。
 また、灯里って、あんまり露骨に疲れた顔とかいやな顔ってしないように思います。
 そんなことを考えていたら、こんな作品を書きたくなったわけです。
 で、やはりこういう場合、対照的な生き方をしてきたアリスが適任なわけです。
 彼女は灯里に尋常じゃないくらい興味を持ってるという妄想もありますが(笑)

 今回も最後までお読みいただきありがとうございました。 


背景素材:Queen's FREE World 様


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