「お、おはようございます!・・・このゴンドラ、きれいですね。」

 「ありがとうございます! わ〜ひ!! 褒められると嬉しいですね。」



 本人を褒めたわけではない。

 ゴンドラを褒めただけなのに・・・このウンディーネさんの喜ぶ顔といったら・・・

 あまりに眩し過ぎる。

 いかにこのゴンドラを大切にしているのかがひしひしと伝わってくる。



 「・・・ゴンドラ・・・好きなんですね。」

 「わかります? この2隻はかけがえのない宝物・・・」

 「あらあら、灯里ちゃん、お客様?」




 もう一人のウンディーネさんが現れた。

 《灯里》と呼ばれたウンディーネの同僚・・・いや、先輩なのだろう。

 豊かな明るい金髪は丁寧に編みこまれている。

 大人の女性を感じさせる落ち着いた感じを受けるウンディーネさん。

 ベテランの風格を感じさせつつ、偉ぶった感じを一切感じさせない。



 「あ。アリシアさん。」

 「えっと、ゴンドラが余りに素敵なんで、見とれてたんです。」

 「あらあら、うふふ。 ありがとうございます。」




 アリシアと呼ばれたウンディーネさんも天使のような微笑を浮かべている。

 何故だろう・・・

 昨日のウンディーネとあまりに違いすぎる。

 打算的な匂いも営業スマイルの色もまるで感じないなんて・・・

 まちがいない! この人たちは本気でゴンドラを愛してるんだ。



 「あの・・・ゴンドラに乗せてはもらえませんか?」



 この人たちのゴンドラなら・・・

 絶対今度こそは・・・

 アクアを・・・ネオ・ヴェネツィアを堪能させてもらえる・・・

 そんな予感が胸に湧き上がる。

 

 「あらあら・・・私は今日、どうしても外せないお仕事があるわ。・・・灯里ちゃん、行ける?」

 「はひっ! 歓んでっ!!」

 「・・・あ、あの・・・」



 私は気になっていた。

 灯里さんの右手にはめられた手袋が・・・

 ガイドブックによれば、確か・・・



 「手袋なしのプリマじゃなくって、大丈夫・・・なんですか?」



 基本的にお客さんを乗せて営業運行をするには、一人前の《プリマ》の資格が必要。

 その目印は、手袋なしの素手の両の手・・・



 「あらあらあら・・・灯里ちゃんったら・・・」

 「えへっ、つい癖で・・・」



 照れくさそうにチロっと舌を出した灯里さん。

 慌てて手袋を外し始める。



 「・・・灯里ちゃんはね、プリマになったばかりなんです。それでもよろしいですか?」

 「はひっ!・・・あれえっ?」



 何故か、みょうちくりんな返事になってしまった私・・・

 ちょっと照れくさかったけど、なんとなくいいなと思えたな・・・


 
 「あらあら・・・灯里ちゃんの『はひっ』がうつっちゃったのかしら・・・うふふ・・・」

 「はひっ、すみません。」

 「あらあら・・・・気に入っちゃった?」

 「はひっ。」

 「うふふ・・・」

 「じゃあ、お客様もお友達、ですね!」

 「はひっ!」

 「ぷいにゅ!」



 白い火星猫(たぶん社長だよね)が嬉しそうに飛び跳ねる。

 確か、火星猫って人間並みの知能があって、話せなくても人語はわかるって聞いてた。

 大きなまん丸お目目は アクアの空みたいに真っ青。

 すっごく 綺麗・・・


 青い目のにゃんこさんがウンディーネ店の社長に据えられる慣わし・・・

 アイちゃんに聞かなかったら きっとビックリしてただろうな、私・・・


 それにしても・・・大きいなあ・・・

 にゃんこさんというより、おっきい縫いぐるみみたい。

 仕草もにゃんこさんというより・・・何だか人間の子供みたいだし。


 それにしても・・・

 なんだろう 《アリア・カンパニー》の人たちって・・・

 初対面の、行きずりの私を まるで家族のように暖かい空気で包んでくれる・・・

 そこには商売っ気なんてぜんぜん感じない・・・


 マンホームでもこんな経験はなかったと思うのに・・・

 何故かな?

 とっても懐かしい 温かい気持ちがあふれてくるな・・・




 「お客様、準備ができましたぁ。」

 「あ、灯里さん。・・・・・・《亜沙里》って呼んでくれていいです。」

 「え、いいんですか? じゃ、よろしく!亜沙里ちゃん!」

 「はひっ!」

 「あらあら・・・ じゃあ、しっかりね、灯里ちゃん。」

 「はひっ!」「はひっ!」

 「あらあらあらあら・・・うふふ・・・」



 ついつられて私まで返事してしまった・・・

 恥ずかしいけど・・・なんだかとっても・・・いいなあ・・・





 「足元気をつけてくださいね、亜沙里ちゃん。」

 「はひっ。」



 ゴンドラ上から手を差し伸べ、私を導く灯里さん・・・

 初々しさと硬さが感じられる・・・

 でも、そこが何だかとってもかわいいと思った。

 灯里さんの方が年上だろうに・・・



 「じゃあ、アリシアさん、いってきま〜す!」

 「いってらっしゃい。 亜沙里ちゃん、楽しんできてね。」

 「はひっ!」

 「うふふふ」

 「ぷいにゅ!」




 《家族》に見送られながらゆっくりと岸を離れていくゴンドラ・・・

 ゆっくりゆっくり・・・

 昨日乗ったゴンドラとはずいぶん違う・・・

 でも・・・その分 ネオ・ヴェネツィアの空気がしっかりと感じられる気がする。



 人々が息づいている・・・

 観光地ではない、普段着の町・・・

 いいなあ・・・・・・



 「緊張しちゃうと、スピードのろくなっちゃうんで・・・」

 「ううん、ゆっくりもいいなぁって思ってたんです。」

 「わ〜ひ、ありがとうございますぅ!!」



 本当に幸せそうな笑顔をする人だな、灯里さんって・・・

 穏やかな風になびくサイドの長い髪がとてもチャーミングだし・・・

 こんな素敵な女の人に・・・なれたらいいなぁ・・・・・・



 ・・・ん?

 《サイドの長い髪》!?

 そういえば、このゴンドラって、アリア・カンパニー?

 ブルーのワンポイント!?

 素敵な笑顔!?


 まさか・・・この人が・・・



 「よぉ、もみ子!」



 岸から声をかけてきた男の人・・・

 何だか暑そうな服装で、ポニーテールしてる・・・



 「暁さんっ! もみ子じゃありません〜」

 「いや、その立派なもみ上げがある以上、お前はもみ子だ。」


 間違いない!

 《もみ上げ》とまで呼ばれるサイドヘアの持ち主・・・

 この人が《アイちゃん一押し》の素敵なウンディーネさんだ。

 なんて偶然・・・

 なんて奇跡・・・



 「それよりもみ子、アリシアさんはどこだ?」

 「アリシアさんは、別のお仕事ですよ?」

 「なんとっ! もみ子!!アリシアさんがいないのに白いゴンドラで営業運行していいのか!?」

 「えっと、昨日プリマに昇格したんです。」



 更なる偶然!?

 プリマに成り立ても成り立て。

 昨日なったばかりとは・・・



 「・・・もしかして、私が・・・」

 「はい!初めてのお客様ですよ!亜沙里ちゃんが。」

 「うわぁ・・・光栄ですっ!!」

 「・・・ってゆーか、盛り上がってるトコ悪いけどもみ子・・・」



 はっ!?

 そーだった・・・

 この暑い男の人、存在忘れちゃってた・・・ あはははは・・・・・・・



 「何ですか?暁さん。」

 「悪いが、浮島行きの空中ロープウエイまで乗せてってくれねーか?」

 「ええっ!? お客さんが乗ってるのに!?」



 灯里さん、困ってる。

 私は暁という人をじっと観察してみた。

 確かにすごい暑苦しい感じはする。

 無駄に熱い調子で灯里さんに迫ってる・・・

 でも・・・どこから見ても悪い人じゃないみたい。



 「頼む、もみ子! アクアを救えるのはこの俺しかいないのだ。」

 「ええっ、ど、どうしよう・・・・」

 「お前しか頼める相手はいないのだ。アクアのピンチだ!!急げもみ子よ!!」

 「ええ〜〜〜っ、どうしよう・・・」

 「あ、あの・・・私なら別にいいですよ、灯里さん。」



 意を決し言い放つ私。

 これも、何かの縁かも・・・

 アクアを救うって言ってる所に妙に惹かれるし・・・



 「えっ!?・・・いいんですか?」

 「はひっ!!」

 「お客さんもいいって言ってるんだ。いいだろ?!」

 「仕方ないなぁ・・・ 今回は特別ですよぉ。」



 岸にゴンドラを寄せると、暁さんは遠慮なしに乗り込み、いきなり・・・



 「ビッグダブル・もみ上げ落としパート2っ!!」

 「はひぃ〜〜〜〜〜〜〜っ!!??」



 灯里さんのもみ上げ・・・もとい、サイドヘアを引き下げる!!

 ビックリしてる灯里さん。

 でも・・・なんか慣れてるみたいにも見えるなぁ・・・



 「だから・・・もみ上げじゃないですぅ。髪引っ張るの禁止っ!!」



 《もみ上げ》を丸めるようにしながら更なる攻撃を必死に食い止める灯里さん。

 間違いない。

 日常化・・・してますね、この攻防は・・・



 「ガチャペンみたいなこといってないで、ともかく急いでくれ! アクアのピンチだ!」

 「急げって言っても・・・私、あまり早く漕げませんよ?」

 「あれ、やりゃいいじゃねーか。逆漕ぎ!」

 「ええっ!?」




 幻の禁じ手《逆漕ぎ》・・・


 噂には聞いていた。

 アイちゃんが体験したという、灯里さんの得意技・・・

 お客さんの視界を遮るので、通常は禁止だっていうけど・・・

 何でも、灯里さんの逆漕ぎは半端じゃないらしい・・・



 「灯里さん、逆漕ぎ 見せてください。」

 「お!!話しわかるな、あんた。」

 「わかりました。・・・じゃあ、行かせてもらいます。」



 意を決した灯里さん。

 さっきまでの穏やかな笑顔から一変し、引き締まった表情へと変わる。

 灯里さんの隠された一面が今露わになった。



 「亜沙里ちゃん、暁さん。しっかりつかまっててくださいね。」



 オールで器用にゴンドラの向きを変える灯里さん。



 「これからお客様の視界を遮る漕ぎ方をさせてもらいます。」

 「はい! お願いします!!」

 「頼むぜ、もみ子!」



 「行きます!」


 ぐいぐいぐい!!

 「!!」



 なんという力強さ・・・

 決して大柄ではない、私と同じくらいの体格・・・

 それが何倍にも大きくなったように感じる。

 灯里さんの細い腕から生み出されたとは思えないパワー・・・

 ゴンドラに新たなる力が宿り ぐんぐん速力を上げていく・・・

 先ほどまでとは逆方向に加速度を体感している私・・・

 時を置き去りにしている感覚とでも言うのだろうか・・・

 今、ゴンドラはタイムマシーンになった・・・

 摩訶不思議な《時を駆ける魔法》・・・



 「驚いたか? もみ子の逆漕ぎはな、無敵なんだぜ!」



 胸を張って自慢する暁さん・・・

 だから・・・

 あなたじゃなくって、もみ子さん・・・もとい、灯里さんの実力でしょうが・・・



 でも、わかる!その気持ち!!

 確かにすごいもん。

 灯里さんの絶対無敵な逆漕ぎ・・・

 いいもの見せてもらってます!



 「ところで・・・暁さんって、何する人なんですか?」

 「なんと!! この服装でわからねえのか?!」

 「はひ。わからないです。」

 「なんという事だ。この惑星アクアを守る正義のヒーロー・暁様を知らんとは・・・」



 要領を得ない会話が交わされる中、灯里さんにようやく余裕が出来てきたようだ。

 ゴンドラが巧く流れに乗ったのだろう。



 「亜沙里ちゃん、暁さんは、炎乃番人・サラマンダーなんですよ。」

 「サラマンダー・・・ですか?」

 「はい。あの浮島で、このアクアの気候をコントロールしてくれてる人たちです。」



 確か、前に聞いたことがある。

 惑星アクアはもともとは火星・・・

 地球より太陽から離れているから人が住めないほど寒かったらしい。

 で、気候制御が欠かせない・・・って事だったなぁ・・・たしか。



 「アクアのは、マンホームと違って全自動じゃねえ。そこで俺達サラマンダーの出番っつう訳よ。」

 「暁さんは、シングルのときに私が始めて乗せたお客さんなんです。」

 「へぇ・・・そうなんですかぁ・・・」



 シングル時代に灯里さんが始めて運んだお客さん・・・

 そして、私はプリマの灯里さんがはじめて運ぶ客・・・

 偶然とはいえ、なんだか感動しちゃうなぁ・・・



 「・・・でも、あの時 暁さん代金払ってくれなかったんですよね?」

 「なっ!?人聞きが悪い事言うな。もみ子がもらい忘れたんだろ?」

 「そ、そうでしたぁ・・・」



 赤くなっている灯里さん、すごくかわいい!!

 流れに乗りさえすればもう余裕を持って漕げるみたい。

 さっきと同じホンワカした笑顔に戻ってる。

 こっちの灯里さんも、さっきのピリッとした灯里さんも・・・素敵だなぁ・・・




 そうこうしてるうちに、浮島行きの空中ロープウエイ乗り場が間近に迫ってきた。

 よほど焦っているのか、暁さんはもうゴンドラを降りる体勢に入っている。

 ・・・早すぎだよぉ・・・



 「お待ちどうさまでした〜。暁さん、いってらっしゃ〜い!」

 「おう、サンキューな、もみ子。」



 挨拶もそこそこにゴンドラを飛び出す暁さん。

 ところが・・・



 「こらっ!! 遅いっつ〜の!!」

 「ぬわっ!!!」

 ごっち〜〜〜〜ん!!!



 暁さんと同じ服装の人が、いきなり暁さんの頭を一発ゴツン!

 頭を抱える暁さん。

 ・・・何だかとっても痛そうなんですけど・・・



 「お前、当番だっつう事を忘れてただろ?」

 「す、すいません。寝坊してました。」

 「ったくよぉ、久々に地上に降りてみたいっていうから休みやったら遅刻しやがってよ・・・」

 「面目ないっす。」



 暁さんの上司なのかな?

 厳しい人だなあ・・・



 「じゃ、行くぞ。曙のヤツ、まだまだお前みたいにはできねえからな。」

 「げっ、曙がやってるのか・・・早く行かねば・・・」



 暁さんの更に後輩・・・なのかな? その人・・・

 でも、なんだかサラマンダーっていうのも大変そう・・・



 「暁のヤツが迷惑かけたな、ウンディーネさんに、そこの嬢ちゃん。ほれ、お前も謝れっつうの!」

 ごつんっ!!

 「あててて・・・もみ子、それに姉ちゃん。悪かったな。ホント助かったぜ。」

 「こらっ!それが謝ってる態度かっ!?」

 ごっつ〜〜ん!!!

 「のわぁ〜〜〜〜つ!!」

 「ほれ、行くぞ!」



 結局、ずるずると引っ張られるように連れてかれる暁さん・・・

 さっきまでの勇ましさが完全に嘘みたい・・・

 見送る私と灯里さんの目は点になってた・・・



 「・・・大丈夫かな?暁さん・・・」

 「・・・たぶん・・・」



 顔を見合わせる私たち・・・

 時が止まった・・・

 そして、再び時が動き出した。





 「あひっ!! また代金もらい忘れちゃいましたぁ! アリシアさん、ごめんなさひぃ・・・」


 ず〜んと落ち込む灯里さん。

 こんな時に言うのもなんだけど、やっぱり・・・

 かわいいっ!!

 この人といるだけで、私まで元気になってくる。

 これって、すごい事だよ、きっと・・・




 「・・・そうだ。亜沙里ちゃん?」

 「はい?」

 「時間は大丈夫ですか?」


 ようやく立ち直った灯里さんが私に都合を聞いてきた。

 これは何か素敵なお誘いかも。



 「はひっ!! 大丈夫です!!」

 「じゃあ、とっておきの場所めぐり、しましょう!」

 「はいっ!!」



 やったぁ!!

 灯里さんなら大丈夫!

 ガイドブックやディスプレーでは見れない素敵なネオ・ヴェネツィアをいっぱい知ってる。

 きっと、どのウンディーネさんよりもいっぱい・・・

 それに、《素敵》を楽しむことの天才だ。

 だって・・・

 ネオ・ヴェネツィアが嫌いだって言ってたアイちゃんが、私にまで教えてくれたもの・・・

 目をキラキラさせながら・・・






 空中エレベーターに乗り込む灯里さんと私・・・

 どんどん遠くなっていくネオ・アドリア海・・・

 すごく高いところへ行くのを全身が感じる。


 「浮き島って、実は観光の穴場なんですよ。」

 「へぇ〜、そうなんですか。楽しみだなぁ・・・」


 私を案内してくれてる灯里さん。

 でも、それだけではない。

 灯里さん自身がものすごく楽しそう。

 それを見てると、私ももっと楽しくなっちゃうから、摩訶不思議・・・



 「ねえ、灯里さん・・・」

 「はい?」

 「《タメ口》で、話しませんか? 友達みたいに・・・」

 「そうです・・・じゃなくって、そうだね。うん! 友達だもんね!」

 「うん!・・・嬉しいなぁ!!」




 今日まで面識なんて全然なかった・・・

 でも、そんなこと関係ない。

 古くからのお友達みたいに心を全開にしてる灯里さん・・・

 その無防備なところがたまらなく素敵・・・

 きっと、灯里さんってお友達、多いんだろうな・・・









 「ぅわ〜・・・・・・」




 一声上げたまま、あとが続かない私・・・

 浮き島から望むネオ・ヴェネツィアは言葉さえ忘れるほどの見事さ・・・

 マンホームでは、こんな景色なんて見ることもなかった・・・



 「空を飛んでるみたいだよね・・・」

 「うん。鳥になったみたい・・・」

 「亜沙里ちゃん、マンホームから来たんだよね?」

 「うん。」

 「私も、マンホーム出身なんだよ。」



 私は驚いた。

 こんなにアクアに・・・ネオヴェネツィアに溶け込んだ灯里さんが・・・

 マンホーム出身だったなんて・・・



 「ウンディーネになるために、15歳の時にこっちへ来たんだ。」

 「そうなんだぁ・・・ でも、気持ち、わかるかも・・・」

 「え?」

 「灯里さんみたいな素敵なウンディーネさんに会ったら、絶対憧れちゃうもん!!」

 「ええっ!? そ、そうかなぁ?!」



 言われ慣れてないのかな?

 耳まで真っ赤になっている灯里さん。

 また、惚れ直しちゃいそう・・・なんちゃって。










 浮き島見物を堪能した私たちはゴンドラへと戻った。

 すると、そばに2隻のゴンドラが留められていた。

 かなり新しそうな真っ白いボディー・・・

 ワンポイントの装飾が灯里さんのゴンドラとは異なる。

 ひとつは鮮やかな赤。

 もうひとつは少し黄色みを帯びたオレンジ。

 ガイドブックで広告を散々見た大手水先案内店《姫屋》と《オレンジぷらねっと》のようだ。

 確かに最大手クラスらしくそこかしこで見かけるゴンドラだ。

 それぞれのゴンドラには若いウンディーネが一人ずつ乗っていた。

 お客さん、待ってるのかな?

 ・・・と思ったら・・・

 こっちに気づいて二人とも降りてきちゃった。

 ウンディーネの灯里さんがいるんだから、お客さんには見えないよね、私達・・・


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